EFLアイキャッチ(魔の土曜日)
今週は週中に執筆の時間が取れず、アイキャッチのみとなります。あまりに多くの出来事が起きた「魔の土曜日」を中心に、ミッドウィーク分も含めての内容です。
来週はEFLクラブのファンミーティングについて書こうと思います!
今週のEFLアイキャッチ
チャンピオンシップ:ウェストブロムの完璧な90分
League One:地殻変動の最中レディング連勝!
League Two:記録よさらば
チャンピオンシップ
ミッドウィーク込みの週末とあってまずは連勝したチームから触れるのが筋というもの。たとえそうでなくとも、あの土曜ナイトゲームのウェストブロムの出来を無視するわけにはいかない!
ともすれば、今シーズンのEFLで最も戦術がハマりにハマっていた試合かもしれない。イプスウィッチが1試合のシュート数1桁(6本)に終わったのはなんと2023年に入ってから初めてのことで、枠内シュート0ももちろん初めて。毎週書いてきているようにビハインドからの勝ち点獲得が非常に多い彼らだが、この日は最後まで1つの答えも見つけることができなかった。
これがカルロス・コルベランの真骨頂である。平常時であれば持っても良し、持たせても良しの相手に対して、リードされた後でさえ中盤から前のレーンをほぼ完璧に塞いでみせ、ロングボールでそこを省略されても高さと速さのあるディフェンスラインで対処する。イプスウィッチは常に数的不利と戦っているかのような状況で、解決策を見つけ出せなかったのも致し方ない。
そして最近の成績向上の主要因となっているのが攻撃陣の熟成だ。1点目はセットプレイ、2点目は見るも鮮やかなカウンター。いずれもチーム内での相互理解が非常に高いレベルに達していなければ生まれないようなゴールで、もう「ただ守りがいいだけ」のチームではない。
よく言われているように、ここ数年のチャンピオンシップでは相手を能動的にコントロールし、大半の場面で試合の主導権を握るチームが昇格するケースが多い。しかしその中には例外もある。往々にしてそれらは、戦術的なフレキシブルさを持ち、強烈なカウンターを持つチームだ。
この点で現在のウェストブロムは、コルベラン自身が率いた2年前のハダースフィールド(PO決勝で敗れてしまったが)、そして何より昨季のルートンの領域に足を踏み入れてきているのではないだろうか。火曜日のカーディフ戦でもしっかり完封してのウィークダブル、ピッチ内での騒がしい状況の中でここまでのチームを作り上げてくるコルベランの集中力には感服するばかりだ。
コヴェントリーとブラックバーンもこの2試合で連勝を果たした。
代表ウィーク前から4バックにシステムを変更していたコヴェントリーの連勝は嬉しいニュースだ。相変わらず攻守両面に効きまくっているベン・シーフの好調ぶりなどその理由はいくらでも掘れるところだが、何より坂元達裕のステップアップに触れないわけにはいかないだろう。
何週か前にも書いたが、現在のコヴェントリーでナチュラルにワイドフォワードの役割をこなせる選手は坂元以外にいない(逆サイドに入っているのは本職ストライカーのハジ・ライトだ)。つまり予定外でしかなかったこのシステム変更が結果的に坂元にとっての強い追い風になったと言える。元々はウイングバック起用でスタートしたシーズン、その後の10番での起用には守備面の問題というよりももっと前で攻撃に絡ませたいという意図があったと考える方が自然だ。そこに来てワイドフォワードロールがチーム内に生まれ、本領を発揮しての初ゴール。今やCovには欠かせない選手になった。
2試合で7ゴールを取ったのはブラックバーン。しっかりとチャンスを得点に繋げられるようになったのなら、順位浮上も納得のコンセクエンスだ。
ストーク戦は相手のミスもあっての3ゴール、そしてバーミンガム戦は相手が極端に集中力を欠いた後半開始15分間で3点を畳みかけるという特殊な展開ではあったが、ここでは2試合で1G2Aのブライトンローニー、アンドリュー・モランの活躍に注目したい。加入当初は戦術の落とし込みのためか出番が少なかったが、カップ戦での活躍を経てリーグでの出場機会を掴むと、11月だけで1G5Aを記録。2列目の選手としてはこれ以上望むべくもない万能性を武器にナショナルレベルの舞台にも食い込み始めた。
ちなみに最近、サミー・シュモディクスがサム・シュモディクスと名乗っているらしい。確かにソーシャルメディアアカウントの名前もサムで、この前Skyの実況もずっとサムと言っていた。スタジアム内電光ボードの表記も通常時はサミーだったが、ゴール時の単独表示ではサムに変わっていた。とにかく本人がサムにしている以上、サムと呼ぶべきなのだろう。
https://twitter.com/SamSzmodics
3人の監督の初勝利にも触れておこう。
土曜日、難敵ミドルズブラを相手にホームでの3ポイントデビューを飾ったのはブリストル・シティのリアム・マニングだった。テイラー・ガードナー・ヒックマンの大活躍がその印象を上書きしてしまったのだが!
2-0から後半に事故の連発で追いつかれる展開。ここからの再カムバックを予想できた人は相当に少なかったであろう中で、マニング自身の課題でもあった精神的な強さが示されたことに安堵した人も多いはずだ。アニス・メーメティの重用など早くも色が見られ始めてもおり、現存する守備の強さと両立してスタイルを築き上げていく過程に入る。
ちなみにボックス外からのスクリーマーを決められまくっているミドルズブラだが、ここまで回数が多いと偶然には思えなくなってくる。今回のゴールにしてもそうだが、プレッシャーが十分にかかっていないせいだろうか?
ウェイン・ルーニー就任6戦目のバーミンガムも最下位シェフィールド・ウェンズデイに勝って待望の初勝利を挙げた。この試合についてはいつも通りインスタに書いた通りでもあるので詳しくは触れないが、内容自体はそれほどだったにしても、重要なのは勝利そのものだ。この後ミッドウィークのブラックバーン戦では負けてしまったが、シュート26本を放った内容には代表ウィーク前からの明らかな改善が見受けられる。
もちろん便宜上「最下位」と書いたが、ダニー・ルール率いるウェンズデイももはやその字面通りに受け取られるべきチームではなくなった。ミッドウィークのレスター戦は終始優勢の内容で、最後の最後で決めた同点弾も100%deservedだった!
マルティ・シフエンテス、何という監督だろうか!こちらは火曜日、QPRがストークを4-2で破っての就任後初勝利。相手に退場者が出た直後ワウター・バーガーに強烈な一撃を決められるなど平坦な道のりではなかったが、そこから逆転してみせた内容に興奮するなという方が難しい。
まず守備陣が就任以降全試合でxGA1以下を継続しているという劇的な改善(彼の到着前はあれほど突っ立っているだけの守備だったのに)を見せていることが素晴らしいし、イリアス・チェアーだけではないことを示す攻撃陣ではクリス・ウィロックの復活が何よりも嬉しい。わずか2年前の今頃リーグ最高の選手の1人と評価されていた選手が、その後の怪我とミック・ビールの焦り急いだ復帰の判断によってすっかり自信を失ってしまっていた姿は見るに堪えないものだった。ローテーションを多用するシフエンテスとの相性も素晴らしいはずで、QPRはピッチ全体でストライドを広げている。
水曜日にはハダースフィールドもサンダランドを破る番狂わせを起こし、風雲急を告げる残留争い。ロザラムもいい加減アウェイで気のない戦いを見せているばかりではいられない。
League One
触れなければいけない結果がいくつもあるが、まずは土曜日にボルトンが見せた純度100%の圧倒劇に目を向けよう。7-0である!
シュート数24-1という数字がその凄まじさを物語る。これだけの時間リードされていながらエクセターはキーパスすらたったの1本。よく使われる言葉だが、このパフォーマンスに限っては「何もさせなかった」という表現がこの上なく正しい。
シーズン前からの前評判を思えば、ボルトンはこれくらいのことができて当たり前のチームだ。パフォーマンスレベルを考えても今季のL1では頭1つ2つ抜けていると考えるのが妥当で、上2つの躓きに乗じて見事首位に浮上。ミッドウィークは3位オックスフォード相手にゴールレスとなったが、依然として優勝候補最右翼であることに疑いの余地はない。
当然のことながらクラブレコードだった昨シーズンからの無敗記録が27で止まったのはポーツマスである(かの有名な「サマータイム無敗」のスタッツを作りだしただけでも偉業なのだが)。土曜日のブラックプール戦は奇妙な試合で、退場者も絡んでの相応しくない0-4の大敗。しかしそこからのミッドウィーク、アウェイでのバートン戦でしっかりと巻き返した点に注目したい。
17位のバートン相手にシュート20本を許してしまった点はいただけないが、まあもともとこんなチームだ。コルビー・ビショップが点を取り、相手に得点を許さずシャットアウト。「負け慣れていない」ジョン・ムシーニョがこの状況でこの勝利を掴んだことに意味がある。
そして何より、レディングの連勝だ!
止まない雨はやはりない。文字通り1年以上ぶりとなるアウェイでのリーグ戦勝利に続いては、タガが外れたかのようなホームでの5ゴール完勝。極端に若い選手層はそのメリットもデメリットも大きいが、完全に一山超えた今からはメリットの番なのだろうか。
ピッチ上の顔触れを見ると11月からのパフォーマンス向上の一員をレフトバックに見て取ることができる。もともとここは本職の選手が入ることが少なく、センターバックなどが無理やり埋めて穴となることが多かったポジションだが、ここにアカデミー上がりのジェリエル・ドーセットを11月から起用し始めたルベン・セジェスの判断は大きかった。守備が安定してくれば前線にはそれなりのタレントがいる。
クラブにはまた新たな買収の噂も上がってきている。心からの願いとして、このピッチ上での好調を阻害するようなものでないことを祈る。
その他のチームではダービーとノーサンプトンが連勝。とりわけノーサンプトンは残留争いライバルのケンブリッジに加え、火曜には直前にポーツマスに完勝を収めたブラックプールを撃破している。3連勝で一気に順位表を駆けのぼり13位、急転直下大きなギャップを築いた。
League Two
近年EFL記録の13連勝に迫ったストックポートが遂に敗れてしまった。その後火曜にも引き分け今週は2試合で1ポイント、フットボールは難しい。
内容を悲観する必要はない。これだけ攻めていても点が入らない時は入らないし、枠内シュート2本だけだった相手に2点を決められてもしまう。スタンドから「パヴァールなんて知らねえよ!」のチャントが鳴り響いたショーン・マクラフリンの2点目など、不運ここに極まれりということでしかない。
幸いなことに、まだ下とは5ポイントものギャップがある。彼らが一番強いチームであることに疑いの余地はないし、当然ながら焦る必要はない。
その一因として、こちらもポーツマス同様に開幕から無敗を続けていたマンスフィールドも同じ週末に敗れてしまった。そしてミッドウィークも(追いついての)2-2ドロー。獲得ポイントはストックポートとまるっきり一緒だ。
38分、そして90+2分、両ハーフの終盤にジェイク・ヤングが得点王争いトップの実力をまざまざと見せつけた。2点とも大したゴールではなかったが、一時期完全に自信を失っていた頃からすれば、そこにいるだけで復活を印象付けたと言っていい。
7試合連続無得点からの6戦連発(7ゴール)。そのストリーキーっぷりは目立つものの、堂々たる16試合16ゴールは誇るべきもの以外の何物でもない。ブラッドフォードがまずリコール権を行使するであろう1月が近付いてきているが、数年前まったく同じ状況だったオーウェン・ドイルの時と同様(ブラッドフォードは本当に何をしているのだろうか?)、選手本人の意向は言うまでもないはずだ。
そのスウィンドンはミッドウィークにも特筆級の試合を演じた。アクリントンのアウェイに乗り込み90分間で4ゴール。完勝の連続で見事な1週間を締めくくるかと思われたその時、である。
1人少なくもあったアクリントンによる90+1, 90+6, 90+9の連発!そして3点目の後のキックオフ直後にさえ、もう1回大チャンスがあった。コレデ・アデドインが感情に身を任されず中を見てさえいれば…。世界に語り継がれる試合になっていたはずだ。
その他連勝を飾ったのはストックポートに勝ったニューポート、そしてブラッドフォードとバロウの3チーム。グレアム・アレクサンダーにとっては重要な初勝利からのH&A連勝となり、5連勝&10戦無敗のバロウはこれで遂に自動昇格圏の3位へ。一方火曜彼らに敗れたウォルソールはもしかすると次の監督解任クラブになるかもしれない。