2024年最初の更新。どうぞ今年もよろしくお願いします!
ということで、新年一発目は1月ならではの話題に触れることにする。
https://twitter.com/LUFC/status/1745410331059302462
1月11日、8年間にも及ぶ在籍に事実上終止符を打つことになるルーク・エイリングのローン移籍に際して、リーズは並外れたロイヤリティを示してみせた。それは他チームのファンからすれば奇妙にしか思えないトリートメントではあったが、おそらくエイリングとの数々の思い出を共有するリーズのファンにとっては、極めてエモーショナルなものだったことだろう。
このように退団時にまで力の入ったプロモーションを行うのはまだまだ一般的なケースではないにしても、近年のフットボール界においては、「選手の移籍」がひとつ重要なメディアチームにとっての力の見せ所になってきている。
https://twitter.com/HullCity/status/1745037778302210187
https://twitter.com/SwansOfficial/status/1743274904462704952
https://twitter.com/TheGillsFC/status/1747710387158421824
これを「日本との比較」という視点から見る。私の認識している範囲が狭いだけかもしれないが、Jリーグのクラブがこういった形で移籍の発表を行っているケースは見たことがない(最近画像付きでの発表をようやく見るようになってきた)。
実にもったいない。最近でも顕著な例があった。
https://twitter.com/Jubiloiwata_YFC/status/1745724797643112593
選手のネームヴァリューと移籍の衝撃度、いずれをとっても日本国内ではトップクラスの引きを持つイベントだったのにもかかわらず、この事務的な投稿である。しかも関連投稿も一切なし。この投稿一つで3万8千件以上のいいねが集まっていることを考えれば、ジュビロ磐田は間違いなくクラブのブランディングを向上させる上での絶好の機会を逃したと言い切っていい。
https://twitter.com/REDSOFFICIAL/status/1745732948308214229
オラ・ソルバッケンの浦和レッズへの移籍もそうだ。皮肉なことに、移籍元のASローマは2019年から「移籍発表の動画で世界中の行方不明者の捜索を呼び掛ける」という極めて印象的なソーシャルメディア施策を行い、大きなバズと称賛を集めたチームでもある。
ローマがその実施に踏み切った理由は「数々の投稿の中で移籍発表が最も多くのインプレッションを見込めるコンテンツだから」というものだった。欧州では5年前の段階で既にその価値を見込まれ、応用のフェーズにすら突入していたコンテンツが、日本では未だにまったく活かされていない。目を背けたくなるような現実である。
その理由は何か。「人がいない」、「お金がない」、そういった根源的な部分に話が及ぶことは想像に難しくない。しかし、だからこそ、私にはソーシャルメディア上での活動に目を向けないことがとてももったいなく感じてしまう。
予算を増やしたいからこそそういった活動に目を向けるべきではないのだろうか。フットボールクラブの財源は限られていて、シーズン前にシーズンチケットや放映権、スポンサー料といった非定期収入が入った後は、年に20回足らずしか得られないチケット代や物販費といった細々とした歳入に頼るしかない。YouTubeやTwitterを介したクリエイターエコノミーシステムはそこに大きな助けをもたらす可能性があるし、UGCへの所有資源という意味で、フットボールクラブほど恵まれた存在もそうはない。
またより基本的な部分として、観客を増やすための取り組みという意味でもソーシャルメディアは重要な役割を果たすことができる。地域密着を大きな存在意義とするJリーグクラブの特性上、彼らはその地域内の他のエンターテインメント団体とのパイの奪い合いに勝つ必要があり、そのためにはよりキャッチーなコンテンツをオーディエンスの多い場所で発信していくのが何よりもの近道だ。その観点で言えばこの動画全盛の時代に画像メインのコンテンツ戦略で他を出し抜けるわけがなく、「他のクラブがやっていないから」というのは比較対象を見誤った言い訳でしかない。
(一つ注目に値する施策として、JリーグはTikTokとパートナーシップ契約を結んでいる。これは大きなポテンシャルを秘めたものだと思うが、現状大きな話題に繋がっているとは言い難い)
このソーシャルメディアの活用不足はよく小耳に挟むJリーグ側の規制の厳しさも関係してのことなのだろうが、それ以外にも変えていった方がよいのではと思う点は多い。
例えばシーズン終了後の契約延長のアナウンスだ。なぜシーズン終了後にまとめて発表するのだろうか?日本のサッカー界にいくつも存在する「野球がそうだからそうしている」だけのシステムであるように思えてならない。
説明するまでもないことだが、イングランドをはじめとする国際的なフットボールシーンにおいて、「契約延長話」は移籍と同様に大きな話題性を持つコンテンツだ。だからこそ報道でも交渉の進展が盛んに報じられ、シーズン中であろうがなかろうが交渉が妥結に至れば公式発表がなされる。
これはクラブ最大のステークホルダーたるファンに対する情報の透明性という部分に限らず、前述した通りの良い意味でのインプレッションの獲得、さらに主力選手がその将来をクラブにコミットしたという朗報を発信することによっての雰囲気の高揚といったパブリシティ面での効果も見込める。なぜそれだけの大きな話題を放棄する必要があるのだろうか。
シーズン後に「来シーズンもプレイすることが決まった」などとアナウンスされる選手の中には、間違いなくその前に複数年契約を結んでいた選手だっているはずだ。それを定型文に当てはめて事務的に発表することは茶番劇でしかない。「通例だから」以外にいったいどんな理由があるのか、私の頭ではどんなに考えても理解できない。
それ以外にも移籍話の少なさや情報解禁時間の厳格さなど、何のために存在しているのかわからない日本特有のしきたりはいくらでも挙げられるが、ここではそれくらいにしておく。
いずれにしても、私はEFLほど日本のサッカー界の観察に時間を費やしているわけではないが、何かしらで触れるたびにこういった「機会の損失」を痛切に感じている。
私に言わせれば「予算不足」は「やれるわけがない」という結論から逆説的に導き出されたリーズニングであって、スッと腹に落ちるそれではない。もちろんそれ以外の理由があるのだとすればぜひとも聞いてみたいところなので、何か情報をお持ちの方はぜひ教えていただきたい。
フットボールクラブが力を入れるべき場所は何もピッチ上だけではない。それと同等に、ピッチ外の物事へ関心を向けることが重要だ。
今週のEFLアイキャッチ
チャンピオンシップ:開幕戦リマッチ、コヴェントリーのステイトメント!
League One:レディングファンへの惜しみない称賛を
League Two:一線を越えたトロイ・ディーニー、混迷のFGR
チャンピオンシップ
今週はやはりこの試合から筆を取らなければならないだろう。結果的にはPO圏6位浮上を果たした一戦、土曜日のランチタイムにコヴェントリーが昇格への資質を示してみせた!
この試合を語る上ではまず当然、前半の終了間際に下された2つの重大な判定について語る必要がある。レスターの先制点となるPKに繋がったボビー・トーマスのファウルがイエローカードで済んだこと、そしてその直後のアブドゥル・ファタウのファウルにレッドカードが提示されたこと。直後のツイートで私はその双方に疑問を呈したが、時間が経ち改めて映像を見返した上で考えると、結局は両方とも正しい判定だったのではないかと思う。
この2つの事象のうち、どちらがよりレッドカードに値したかを問うのであれば、間違いなくファタウのファウルの方だ。相手の死角からのタックルで十分すぎるほどの勢いがあり、かつレイトも甚だしいタイミングでボール奪取もできていない。わかりやすく頭に血が上ってしまったことが窺え、印象は最悪に近かった。
それに比べてトーマスのファウルの方は、少なくともボールを狙いに行った意図と実際に先に触ることができたという事実がある。あれがペナルティエリアの外であれば、あるいはもっと一タックルと荒く見える要素があれば裁定は異なっていただろうが、「結果的に膝が足裏に入ってしまった」と見なすのは何ら不思議なことではない。
兎にも角にもレスターに1点、コヴェントリーに人数のアドバンテージ。後半を迎える上では最も興味深いシチュエーションが整った。
10人での戦いを強いられた中でも、レスターの守備陣が最後まで称賛に値する踏ん張りを見せていたことは記しておきたい。コヴェントリーからすれば前半の方が流れの中から良いチャンスを作れていたくらいで、ボールを持たされる形になってからはむしろ決め手を欠いてしまっていた。しかしそんな苦境も跳ね返すのがXファクター、カラム・オヘアの圧倒的な個の能力だったことは言うまでもない。
結果的にはオヘアの2点とセットプレイからの得点。この飛び道具的な得点手段の存在が「良いチーム」と「強いチーム」を分け隔てる大きな要素なのかもしれない。誰の目にも明らかなステイトメント・ウィンでもって、今や彼らは立派なPO進出候補筆頭格だ。
レスターが敗戦、ならば残りの4強は…。全勝!
5試合未勝利という今シーズン最大の不振を乗り越えるホームでの戦い、それをお家芸とも言うべき逆転勝利で飾ったからこそ、イプスウィッチのこの一勝にはスコア以上の価値がある。ジョージ・ハースト離脱に際して代役で入った(明らかに彼らの最前線に求められるタイプとは違う)ケイデン・ジャクソンが点を取ったことも喜ばしい。
ここ3試合で3ゴール、前週FAカップでの信じられない一撃も含め急転直下の復活を印象付けるパトリック・バンフォードの活躍がリーズにも新たなオプションを与えている。というよりあるいはそれ以上に、ジョルジニオ・ルターのトップ下起用という掘り出し物を探し当てたことの方を強調すべきかもしれない。彼にできないことは果たして存在するのだろうか?
そして何よりサウサンプトンである。103年前(!)に作られたクラブ記録を更新するリーグここ20試合無敗を達成、それもハーゼンヒュットル時代のアシスタントで監督として凱旋を果たしたダニー・ルールのシェフィールド・ウェンズデイを寄せ付けずの4-0快勝だと言うのだから、もう手が付けられない。
確かに1点目のシェイ・アダムズのゴールは相手のミスによるものだったが、このセインツのようなチームと相対してはどんな選手もプレッシャーを感じるものだ。後半も追撃の手を緩めず1G2Aのアダム・アームストロングは10-10クラブの今シーズン一番乗り(現在14G11A)を果たすことに。最近はフロント3の右を務めることが多いためプレイへの関与が増えており、前から何度か書いているマーティンの「勝っていても手を加え続ける」姿勢が機能し続けている。今リーグで最も隙のないチームと言っていいだろう。
日曜日に行われたQPR 1-2 ワトフォードでは34歳のジェイク・リヴァモアが驚きの新境地を開拓した。
おそらくこの2ゴールに最も困惑していたのはリヴァモア自身だろう。1点目のパフォーマンスを見た時、私は「リヴァモアってQPRに在籍してたっけ?」と思いすぐWikipediaを調べてしまった。それくらい喜び慣れていない彼があろうことかまったく同じ形での2点目まで奪ってみせて、その直後にタイミングを見計らったかのような途中交代。奇妙な出来事の連続だったが、とにかく加入後から大活躍を続ける中でも大きなハイライトとなる試合だったことには違いない。
シフエンテス就任後のxGAリーグ5位が示す通り、なかなか結果に結びつかない中でも内容面では高水準をキープし続けるQPRにとってはハードラックな敗戦となった。裏を返せばそれほど内容が良くない中でもアウェイで勝ち点3を掴み取ったのがワトフォード、PO圏まではなんと1ポイントだ。
トニー・モウブレイとルーク・ウィリアムズが共にダグアウトデビューを飾ったバーミンガム 2-2 スウォンジーの一戦。いつも通り試合の感想はもうインスタに書いたので省略するが、まずは何よりもウィリアムズ体制下スウォンジーの初ゴールがダイレクトコーナーから決まったことを書き残しておかなければならない!
またいくら下地があるとはいえシーズン途中就任には明らかに向かないと思われたウィリアムズ流フットボールも、システムこそ3-4-2-1に変わったとはいえ無理にボールを保持する意思はなく、どちらかと言えば持たせてという基本方針で戦っていたように見えたのは興味深い点だった。来シーズン、この2人が再戦する時にどういった戦いが繰り広げられるのかにも注目だ。
League One
まず、上の結果が10試合のみの記載に留まっていることから触れなければならない。
「愛するフットボールを見に行き、二度と家に帰ってこられない」。そこにどんな過程があろうとも、絶対に起こるべきではないことだ。だからこそ71年の生涯に渡って愛したボルトンの試合中に意識を失い、そのまま帰らぬ人となった故イアイン・パースロウ氏に、心からの哀悼の意を捧げる。ご冥福をお祈りいたします。
そしてレディングだ。怒り狂ったサポーターたちが綿密な計画の末にピッチへと突入したのは開始16分、もちろんこれは現体制下で剥奪された勝ち点の合計が16であることと無関係ではない。
ここで彼らの問題について改めて深く立ち入ることはしない。これまでにも取り上げてきたから、ということではなく、このレディングの問題については改めて何らかの形で問題の全容を書き残すことにしたいからだ。
その中でも一つはっきりさせておくべきこととして、世界中の全てのフットボールファンはこのレディングファンの行動に敬意を表し、賛辞を贈り、連帯する必要があると思う。彼らは今、愛するクラブがその将来を閉ざされるかどうかという瀬戸際にいる。このエナジーが彼らの未来を救うかもしれない。その思いに寄り添い、励ますことは、フットボールファンとしての責務と言い切ってしまっていい。
このレディングの行動、そしてアウェイから駆け付けたのにもかかわらずこの抗議行動を全面的にサポートしたポート・ヴェイルのファンにも、惜しみない拍手を贈る。
ピッチ内の出来事に目を移そう。今週のヘッドライナーはやはりポーツマス 0-3 レイトン・オリエントということになる。
30分に1失点目、35分に2失点目、41分にPKを失敗し45+4分に3失点目(ダン・アッジーが見せたベンジャニ・セレブレーションもとても印象的だった!)。皮肉にもここまで強さの源泉としてきた前半終了間際の崩壊が試合を決定付けた点は、年末年始を跨いで続くポーツマスの心配な近況を象徴する出来事だったかもしれない。
やはり怪我人の影響を過小評価することはできない。直近6試合での完封1回という数字を思えば11月のリーガン・プール負傷はジワジワと彼らを蝕み始めているように見えるし、それに加えて今度は前線のセンターラインの軸アレックス・ロバートソンもほぼシーズンアウトの負傷で離脱してしまった。ここ2ヶ月間コルビー・ビショップ負傷中の穴を埋めてきたクシニ・イェンギがアジアカップで離脱していることも当然痛手だ。
レイトン・オリエントの今季ベスト級のパフォーマンスに当たったことは不運ではあったが、そのうちの幾分かは彼ら自身が招いた結果であるようにも思える。直近6試合5ポイントながら現状はまだ首位、立て直すチャンスはまだまだ残されているが、運の悪いことに下からの突き上げも非常に激しい。
依然としてまったく自らのポテンシャルを発揮できていないチャールトンを相手に、ピーターバラはチームとしての成熟度の差を示したという見方ができる。これでリーグ戦は直近20試合でわずか1敗、ともにwell-takenだった2ゴールのエフロン・メイソン・クラークをはじめ、今のところどの主力選手たちにも移籍市場による悪影響が及んでいない点も大いに歓迎すべきだ。
マンデーナイトの放送カードだったダービー 3-2 バートンの試合はホームチームにとって紙一重の結末だった。おそらく2024年にフットボールをプレイした人間の中で最も素晴らしい後半45分間のパフォーマンスを見せたスティーヴ・セドンの大活躍、そして印象的なデビューを飾ったマンUローニー ジョー・フーギルの同点弾で楽勝ムードから一転して窮地に陥った中でも、最後はコナー・ハウラハンのキャプテン・コントリビューション。ある程度心配な点は見受けられる中とはいえども、ダービーもまたリーグここ13試合で11勝1分1敗という驚異的な成績を残している。
この2チームが未消化を1試合残す中で首位ポーツマスとは1ポイント差。さらに2ポイント差の4位ボルトンに至ってはポンペイとの比較で未消化分3試合を残している。この自動昇格争いも大きな盛り上がりに発展していくことは必至だ。
League Two
5-5である。なんともはや、L2内に限っても今シーズン2回目!いくら世界広しと言えど、ここ以上に気が狂ったリーグが他のどこかにあると言うのなら、ぜひとも教えてほしい。
前節ウォルソール相手に6失点を喫していたグリムズビーとハイリスクハイリターン戦術の極致を行くノッツ・カウンティ。後者は暫定監督ジム・オブライエンの指揮下だったとはいえ、2チームのディテールを踏まえればある程度納得はできてしまうのがまた恐ろしい。
まず2点を先制した中で5失点目で初めて逆転を許したグリムズビーだが、最後の最後に決めたのがハルからローンで加わったばかりのハリー・ウッドだったことも含めて、決して小さくないポジティヴを持ち帰れたことは確かだ。また年末年始に公式戦7試合5敗というランを経験していたノッツにとっても、最近あまりなかった競り合いの中での勝ち点獲得となったことはプラスに捉えられる。懸案だった新監督人事もスチュアート・メイナードという考えられる中では最上級クラスの人材を確保し、再びの上昇気流を見据える。
トップ2はどうやら盤石だ。ストックポートはここ最近レクサムを破るなどして好調を誇っていたウォルソールを退けての首位キープ、そのレクサムは難敵AFCウィンブルドンに手こずりながらも大ベテラン スティーヴン・フレッチャーの活躍で2-0で勝利。これでホームでは開幕戦で負けて以降13試合無敗、内引き分けすら2つだけという圧倒的な要塞ぶりを誇る。
ハイライトではどうしても最初のフリークゴールだけに目を向けたくなってしまうが、7位に入ってきたMKドンズの姿には感心させられる。4連勝の後前節は4位バロウと接戦を演じて0-1で負けただけというトランメアのアウェイに乗り込み、シュート数25-5、唯一の失点もビッグディフレクションという不運なもの。この短いクリップだけでもそのショートカウンターの洗練ぶりやストラクチャーの正しさを見て取ることが可能で、マイク・ウィリアムソンはその高い下馬評に見事応える仕事ぶりを発揮している。PO争いどころかその上さえ目指せるのではないかという出来だ。
そして今週はこの一件にも触れておく必要がある。
https://twitter.com/TDC1991/status/1746461775350915437
鮮烈なOverachievingを続けるハロゲイトの好パフォーマンスに筆を回す余裕すら失ってしまうほどに、トロイ・ディーニーによる試合後のコメントが悪い意味での注目を独占してしまった。
フォレストグリーンの「気のなさ」についてはかねてからここでも指摘してきた通りで、それがどこに、何に起因するものなのかはわからないにしても、「L2最下位に甘んじるレベルではない」選手たちが現状この順位にいることは確かだ。しかしだからといって、ディーニーが毎週のように述べるこういった強い言葉がその状況を好転させる可能性に繋がっていたとは思えない。特に驕りや高ぶりといった方面に理由を求める彼の言説はややステレオタイプ的でもあり、選手の心を傷つけていたことは容易に想像できる。
それだけならまだ監督としての資質の範囲内で済む話だったが、BBCへのインタビューで話したファンカティ・ダボへの個人攻撃は明らかに一線を越えていた。彼らのUnderperformingは衆目の一致するところだとしても、それが彼のウェンブリーでのPK失敗にあえて言及する理由に繋がることは決してありえない。あの日彼が流していた大粒の涙を我々は未だ強く記憶している。それを揶揄するかのごとく今さら持ち出すのはもはやイジメと言っていい。
結果的にディーニーは今週木曜日の夜に解任された。就任後わずか6試合、1つも勝てず3分3敗の成績に終わった。ピッチ外で起こし続けた問題行動がこの決断にどれほどの影響を及ぼしたのかは不明だが、真相がどこにあるのだとしても、個人的には彼を監督に仕立て上げたデイル・ヴィンスの任命責任の方に目が行ってしまう。
今のFGRのクラブとしてのビジョンはどこにあるのだろうか?2年前までロブ・エドワーズがいたことすらもはや信じ難く、その次のイアン・バーチノールまでは継続性が見えたにしても、昨シーズン途中のダンカン・ファーガソンの就任からは行き当たりばったりもいいところの監督人事を繰り返しているようにしか見えない。結局ディーニーを任命したこともあるべきプロセスを踏んでの決断だったようには思えず、(結局たった6試合で首を挿げ替えてしまうのなら)目先の注目以外の何も得ることができなかった。
彼らが興じているのは実に典型的な降格クラブの動きだ。2シーズン連続降格の危機がもう目の前にまで迫ってきている。