例に漏れず様々な出来事が起きた23/24シーズンも、まもなく幕を閉じようとしている。
今シーズンはウェンブリーでチャンピオンズリーグの決勝が行われる都合上、いつもとはPOに向けての日程が違う。普段であればPOファイナル週の翌週に行われるFAカップの決勝が5月最終週の土曜に開催され、チャンピオンシップの決勝がその翌日の日曜日。ではL1とL2はどうなるかといえばその前週の土日で決勝を開催するため、それぞれの日程が1週間ずつずれ込み、チャンピオンシップより1週間早い今週の土曜日にL1とL2のファイナルデイが開催される。
そのため今週のL1とL2の項では、最終節まで残ったそれぞれの争いについての展望もつけ足しておく。ちなみに既に英国内で発表済みの放送カードはL1がダービー-カーライル、L2がコルチェスター-クルーという2試合だが、DAZNのスケジュールはまだ更新されていないため、放送があるかないかは不透明だ。
今週のEFLアイキャッチ
チャンピオンシップ:順位表のトップボトムで(毎週同様に)大きな動き
League One:ポーツマス優勝、3チームが降格決定
League Two:自動昇格3チームが決定、大混乱のPO争い
チャンピオンシップ
まずは本稿に入る前に、ウェンブリーの地でコヴェントリーが見せた歴史的な戦いについて触れておきたい。EFLという箱全体に魅力を見出し追いかけ続けてきた者として、間違いなく未だかつて感じたことのない誇りと喜びを感じた、そんな日曜日の午後だった。
マーク・ロビンズが最近ではリーグですらさしてやっていない3バックを開始時の布陣に選んでいなかったら。あるいはVARなどという愚かな文明の発明がより正しい目的にのみ使われていたのなら。様々なタラレバを考えてしまうのは仕方のないことだとしても、ここはまず準決勝敗退という形で終わった彼らの真に驚異的な旅路を祝福しなければいけない。リーグと両輪でプライオリティを置く体力がなかった中で、今季コヴェントリーがFAカップに残した爪痕の大きさは計り知れない。あのFAの史上類を見ないほどに浅ましい決断は、間違いなくこのコヴェントリーの大健闘によって、より一段と滑稽なものになろうとしている。
1試合で9点を取った4年前の対戦にこそ及ばずとも、自動昇格、そして優勝への道筋を示すためには十分すぎるほどのサウサンプトン戦2試合合計9-1での快勝。より重要なことに1ヶ月積み残した未消化分での5-0勝利によって、レスターがプレミアリーグ復帰に王手をかけた。
この試合前、というかここ数週間に渡って、大きな話題を集めつつあったのがサウサンプトンのリデンプションアークだった。レスター、リーズ、イプスウィッチがいずれも尻込みする予想外の最終盤の展開の中で、(当然本意ではないが)今思えばそこから一歩引いた位置に構えていたセインツに対する期待がやや不相応に高まってしまっていたきらいもある。ただそれにしても先週末を迎えるまでは3連勝、内容的にもその3つ目のプレストン戦はシュート数23-1での圧勝で、夢を見るのに十分な出来を示していたことも事実だ。
そこからの2試合は彼らにとって悪夢というほかないものだった。怪我人続出でベンチの半分をトップでの先発経験のない選手が占めたカーディフに対して、アウェイながらシュート数5-20で圧倒していたところからの大逆転負け。そして希望の拠り所だったレスターとのゲームインハンドに5-0での大敗。試合ぶりを見れば30日間で8試合を戦う過密日程の影響がもろに出ている足の止まりっぷりではあったものの、それを踏まえればむしろ心配になるのは今後のプレイオフに向けた日程でもある。これでセインツの自動昇格の芽はなくなってしまった。
なんにしても、その自動昇格枠は実質的に1つ埋まったようなものだ。ハムザ・チューダリーのゴールラインブロック3連発も目を引いた土曜のウェストブロム戦に続いて、この重要な時期の重要な連戦を共にホームで戦えたことも大きかったレスターにとっては、さすがにもう胸をなでおろしていい状況だ。
直近の約1ヶ月半で完全にフォームを落としてしまった彼らではあるが、そこにわかりやすい原因を求めるのは難しい。相変わらずチャンス自体は作れていたし、持ち味たるポゼッションのシステマチックさも決して以前に比べて見劣りするようなものにはなっていなかった。しかしただ単にそのチャンスを決め切れなかったり、守備陣にシステムだけではカバーしきれない個々の限界が出始めたりと、細かい部分の歯車にやや狂いが生じていただけだ。総じて言えば良くも悪くも彼らの出来にはシーズンを通して波がなかった。その中で上振れと下振れが局地的に集中した、それだけの話だろう。
前述したコヴェントリーのFAカップによってイプスウィッチは今週試合なし。なんと最終節前にゲームインハンドを掴むことになった中で、月曜夜の試合となったリーズはしっかりとアウェイで難敵ミドルズブラに3-4で勝利し暫定の2位に浮上した。あるいはどのリーズの選手よりもエマヌエル・ラテ・ラトのシーズンを通した成長ぶりが際立った試合ではあったものの、まるで小細工なしの真っ向勝負を挑んできたボロに目を覚まされたかのようなリーズのvibrantなパフォーマンスが印象的だった一戦。直近ではこちらも足の動かなさが目立っていたところから見事に巻き返してみせた。
これで同じ試合消化数のレスターとリーズが4ポイント差で1位2位。その1ポイント下にいるイプスウィッチは1試合未消化、しかしハルとコヴェントリーというトリッキーな相手とのアウェイ戦が続くところでもある。まったくもって油断はできない。
PO争いでは連敗の5位ウェストブロムと6位ノリッジが勝ち点で並ぶ事態に。レスター戦は負けたのが不運としか言いようのない出来だったウェストブロム、次はアウェイで尻に火の付いたシェフィールド・ウェンズデイとの難しい顔合わせが待つ。ただノリッジも含め、得失点を考えれば現実的にはあと1つ勝てばもう上がりだろう。
そんな2チームへの挑戦権をかけた水曜夜の一戦、ウェンブリーから持ち帰ってきた小旗がいたるところで振られる幻想的な雰囲気をものともせず、勝ったハルが7位に浮上してみせた。
得点こそミスが大きく絡んでのものもあったとはいえ、ハルが披露したのはマンチェスター・ユナイテッドなどよりもよっぽどシステマチックで圧のある攻撃力だった。前半のシュート数は1-10、その1本はもちろんケイシー・パーマーが決めたフリーキックだったので、実質的にはほぼハーフコートゲームの45分間だったと言ってもいい。さすがに後半はコヴェントリーが息を吹き返したものの、ビッグチャンスを作っていたのは依然としてアウェイチームの方だった。
その前の試合、土曜日のワトフォード戦でも相手GKダニエル・バッハマンの好セーブ連発がなければ悠々と3ポイントを取れていたはずの戦いぶりで、ここに来てチーム全体での前方への意識が改善されてきているように見える。待望の純然ストライカーリアム・デラップの怪我からの復帰もプラス要素にしかなり得ず、上2つの躓きさえあれば目ざとく隙を伺う構えだ。
問題はここからだ。もはやどこから手を付けていいかもわからない残留争いの大混乱。とはいえやはり今週のスタート地点とすべきは、直接対決となったイーウッド・パークでの試合だろう。
先週のリーズ戦、誰もが予想だにしなかったソリッドなディスプレイで大番狂わせを演じ残留まであと一歩に迫ったブラックバーンの姿は、今思えば幻だったのかもしれない。順位を考えればどう考えてもより重要なホームでの一戦、先週の相手と同じくサウス・ヨークシャーからやってきたシェフィールド・ウェンズデイを相手に見せたパフォーマンスは、惨劇と呼ぶ他ないほどに冴えないものだった。
試合開始時点からずっと覚束なかったエインズリー・ペアーズの不安定な挙動は、今後何年と語り継がれるであろう3点目の瞬間にピークに達した。彼の前にいた3バックたちもただ佇んでいるだけでしかなく、サム・シュモディクスの質のみが目立った試合内容はまさしくシーズン後半戦の彼らを象徴するものだ。
その不安定さを試合前の段階で見破り、時としてその勇敢さを披露できずに勝ち点を落としてきた試合もあった中で、シェフィールド・ウェンズデイは見事に困難と思われたタスクを完遂してみせた。これで彼らは21位、なんと開幕節以来となる降格圏脱出(!)だ。
そのウェンズデイの下にいるのは22位バーミンガムと23位ハダースフィールド。奇遇にも、第45節でスーパー6ポインターを戦う2チームだ。
今シーズンのロザラムとの対戦で合計スコア0-0。それだけでも降格に十分値するバーミンガムの出来は、再びアウェイエンドに集まったファンに大きな失望を与えた。愛弟子オリー・バークの先発という大博打を打ったギャリー・ラウエットに同情する声も少なく、自業自得としか言えないプロセスで再び厳しい状況に逆戻りしてしまった。
ハダースフィールドには「90分間通してパフォーマンスを持続できない」という明確な弱点が見える。今週も今週とて0-4負けにも関わらず最初の失点を喫したのは73分。それまでは枠内シュートが0-1という極めてタイトな試合を戦っていた。しかし明らかなオープンゴールにも関わらずパスを出さなかったデラノ・ブルフゾルフの醜いシーンをはじめチーム内の空気も明らかに淀んでしまっており、繰り返す終盤での失点癖とともに何ら良い点が見いだせない。いずれもダークな空気を纏う降格圏2チームの直接対決、負けた方はもう諦めるしかない。
そしてブラックバーン同様、1週前の結果を完全に無に帰してしまったのがプリマスである。こちらも今節は直接対決、しかもスティーヴン・シューマッカーを巡る因縁渦めくストークとの一戦。結果は彼が現在指揮を執るストークがその攻撃力を存分に見せつけての完勝だった。
シーズン後半の適応が著しいベ・ジュノを中心とした流動的な前線が来季への期待を抱かせるストークの残留がほぼ決まった一方で、この試合枠内シュートすらたったの1本、先週レスターを破ったプリマスの面影はどこにもなかったと言っていい。アウェイでのミルウォール、そしてPO行きのために大勝が必要になる可能性すらある最終節のハルという残り日程も恵まれているとは言い難く、まだまだ安心はできない。
League One
ホームで2度リードを許し、イェンギが決め、ビショップが決め、最後は89分にコーナーからショーネシーのヘッド。自動昇格のみならずLeague One優勝まで決めてしまった44試合目、ポーツマスは最後まであまりにもポーツマスなやり方で、12年ぶりとなるチャンピオンシップ復帰を決めた!
https://twitter.com/Japanesethe72/status/1780393215884927015
今シーズンはこのアイキャッチのコーナーでも幾度となくポンペイの渋太さ、勝負強さ、ソリッドさについて触れてきたように思う。もう何度書いたかわからないが、このレベルではあまりにも聞いたことがない「サマータイム無敗」の偉業に始まったシーズン。昨季のプリマスやイプスウィッチのような方向性での強さを持った圧倒的なチームがいない大混戦の今シーズンの中で、その試合巧者ぶりはリーグを制するのに十分すぎるほどの武器だったと言えよう。
現役時代から「間違いなく素晴らしい指導者になる」と言われ続けてきたジョン・ムシーニョが予想通りの方向性ですぐさま結果を出したのも素晴らしいし、そんなムシーニョを連れてきたリチャード・ヒューズの相変わらずの慧眼にも敬意を表さなければいけない。なんとも皮肉なことに彼の古巣フォレストグリーンの連続降格が決まったのもこの日だった。改めて、フットボール界とはかくも残酷なものだ。
来季、さすがにイプスウィッチのような道のりを辿ることは考えづらいにしても、シーズン後半に残留以上の目標を戦っている可能性はまったく否定できない。もちろん今シーズンですらどちらかといえば接戦をモノにしての勝利が多く、補強面など諸々を含めて最高にうまく行った結果としての昇格なので、夏の立ち回りから何からに成功への条件が付く。しかしそれをずっとうまくやってきた実績を持つのがヒューズでありムシーニョだ。このコンビさえ健在であれば、大きな失敗をする画は思い浮かばない。
最終節に積み残された最大の争いがもう1枠の自動昇格となる。そうはいっても、状況は圧倒的に2位のダービー有利に傾いてはいる。コーナー3つで3点を取った2週間前のレイトン・オリエント戦3-0に続き、先週もケンブリッジに危なげない0-1でのアウェイ勝利。まして最終節が最下位降格の決まっているカーライル相手のホーム戦なのだから、普通に考えれば勝ち点を落とす要素はない。
3位ボルトンはここ6試合無敗、しかし例によって詰めの甘い面は解消されておらず、2週間前のシュルーズベリー相手のドローなど相変わらず取りこぼし癖が治っていない。4位ピーターバラが相手の最終節、もうプレイオフに備えてミッドウィークには大幅なターンオーバーを行った相手だけに試合自体は見た目よりも楽だが、ホームにも増してwobblyなアウェイでの対戦という点もやや不安だ。
それでもこれは最終節、何が起きるかはわからない。降格決定後少し上向きにはなっているカーライルがこの争いの大きな変数にもなり得るだろう。
PO争いは2枠を4チームで争う形。数週前からリンカーンとオックスフォードが6位を争う構図として注目されてきたが、ここに来て上下に1チームずつが加わり事態はより複雑になった。
そんな最終節を実現させた先週のブラックプールのホーム最終戦。ハーフタイム直後までに3点を奪い相手得意の反撃を封じた見事な4連勝目、それまで降格圏付近のチーム相手に勝ち点を重ねてきた連勝街道がフロックではなかったことを彼らが示した一方で、なんとも狂気的にバーンズリーはこれがニール・コリンズのラストゲームとなった。
レギュラーシーズンは残り1試合、確かに直近では5試合1ポイントだったとはいえ、この時期に監督を交代して事態が即座に好転した例など過去一度たりとも存在しないことを思えば、「勇気がある」のではなく「無謀」という言葉を使わざるを得ない決断だ。もちろんここには過去2ヶ月あまりで高まる一方のファンからの監督批判が影響しているものと思われるが、傍目に見ればその批判への正当性は薄く、その軽薄なセンチメントに乗っかってしまった今回の決断により大きな疑問を投げかけるだけの効果しか持たない。周囲の結果次第では早くもその代償を支払わされる可能性すらある。
2月の段階ではまだ残留争いすらあり得た状況から面白いように勝ちを重ね這い上がってきたリンカーンが6位、そのリンカーンに2週間前敗れたことで優位を失ってしまったオックスフォードが7位。ただここに来て、この両者ともに笑う可能性が出てきたことは興味深い。最終節、この4チームはいずれも目標のないビーチモードのチームとの対戦。取りこぼした者がPOチャンスを失う、この上なくシンプルで面白い構図になった。
ポッシュがミッドウィークにとんでもないターンオーバーをしたことによるバタフライエフェクトが残留争いにも波及している。何せその相手だったのは21位のチェルトナム。リーグ史上最悪のスタートから印象的な巻き返しを図るもさすがにもう息切れかに思われた終盤戦、負ければその運命が決まるところだった試合で、図らずもピーターバラから救いの手が差し伸べられた。
何とも興味深いことに、これによってバートンとよりによってポッシュのライバルであるケンブリッジに降格の可能性が残ったことになる。もっとも依然としてチェルトナムにとって厳しい状況は変わらず、まずはアウェイでスティーヴネッジに勝たないことには物語は動き出さない。スティーヴネッジはもちろんスティーヴ・エヴァンズ退任後初のホームゲーム、暫定監督のアレックス・レヴェルにとっては気合の入る一戦だが、先制後はただボールを持つことを拒否し続けていた先週のオックスフォード戦を見る限り現状の強さには疑問符を付けざるを得ない。
一方でケンブリッジはポート・ヴェイルと、バートンはフリートウッドと、いずれも降格が決まっているチームのアウェイに乗り込んでの試合となる。この巡りあわせもまた興味深く、降格シーズンのホーム最終戦とあって相手は高いモチベーションで臨んでくることが予想される。ポート・ヴェイルは人事面でのまずさが相まっての低調な1年、フリートウッドは開幕前のアンディ・ピリー会長の逮捕が大きく尾を引いての厳しいシーズンを過ごした。せめて最後に相手を道連れにする気満々だ。
League Two
最終節前に3つの自動昇格チームはいずれも決定済み。ドラマには欠けるものの、シーズン全体を通した流れで見ればあまりにも妥当な帰結でもあった。
シーズン前半にはノッツ・カウンティが、後半にはMKドンズが賑やかにその輪に加わっていた自動昇格争いだったが、結局のところシーズンを通してその駆動役を担っていたのはストックポート、レクサム、マンスフィールドの3チームだった。その彼らがしっかりと3つの自動昇格枠を掴む。何のためにシーズンが46試合もあるのかを指し示す事象だ。
ストックポートはまずもって昨年達成したリーグ記録13連勝の当事者たるチームである。もともとが昨季のPOファイナリスト、そこから夏に堅実かつ的確な補強を行いさしたるマイナスもなかった中で、ケチの付け所のない成績を残してみせた。NL時代からディヴィジョン内では最上位レベルの財政力を持つ中でも、それを決してその場凌ぎの投資とせず、(確かに今季はニック・パウルを取ったが)しっかりとバックグラウンドや年齢層の若い選手の獲得に費やしてきた結果がこの飛躍的な昇格の連続だろう。複数ポジションをこなせる選手が多く戦術のバリエーションも多彩で、また売却可能な資産も多く有していることから、昇格してもディヴィジョンの壁があるようには思われない。まだまだその勢いに翳りは見えない。
開幕から今シーズンEFLの主役の1チームとして全世界から多くの注目を集めたレクサム。好奇心と揶揄の入り交じる良くも悪くも中心的存在として連続昇格を有力視された中で、その肥大化した期待に結果的には応えてみせたのだから立派という他ない。こちらはストックポートとは対照的にスカッドの年齢層が高く、予想されたような積極的な補強は行わなかった中でしかも取った選手はリセールバリューの少ないベテランばかりとピッチ外での動きがよくわからなかったが、あるいはこれはフィル・パーキンソンの希望だったのだろうか。いずれにしてもこれでは昇格後のいいイメージを抱くことは難しいが、もちろん頭の切れるオーナーがいる以上、次なる策も計画されているものと想像する。何につけ資金力はL1でも他の追随を許さない。
シーズンのこの段階に及んでもxGリーグ1位、xGAもリーグ3位。今季スタッツナードの心を躍らせ続けてきたマンスフィールドは、パフォーマンス面からすれば最も自動昇格に相応しいチームであり続けていた。最後一線を踏み越える前の段階でやや足踏みしたのはここ数年にわたって期待を裏切り続けたことの代償だったのかもしれないが、最終的にはそれをも乗り越えたことで、ようやくクラブの格に相応しいリーグに自らを押し戻すことができる。L1に舞台を移してもパフォーマンス、そして監督の経験値の意味でも何ら申し分なく、残留以上の目標を目指すことができるはずだ。
ここに惜しくも追撃及ばなかったMKドンズが4位でPO行きを確定させた。さあ、問題はその次である。自動昇格が比較的早く決まった穴埋めかのごとく、まったくもってカオスな戦いがPOラインを跨いで展開される。
まずこのリストの一番上にドンカスターの名前があるのが信じ難い奇跡だ。何せ3月9日から現在リーグ10連勝中、残留回避で御の字とみられたグラント・マッキャンの復帰初年度は、記憶に残らない凡庸な1年から長きに渡る伝説の1年へと変貌を遂げようとしている。
ここにはPOは安泰とみられた元自動昇格争い勢クルーとバロウの大失速も関係している。クルーはここ11試合で2勝、かつて代名詞としてきた終盤での強さもすっかり影を潜めてしまった。バロウに至ってはここ6試合で1分5敗、先週にはまさしくそのドンカスター相手にアウェイで0-2リードをほっぽりだしての4-2逆転負けを喫した。
ここまでが「勝てば決まり」の3チーム。しかしとりわけクルーとバロウに取りこぼしの可能性がある中では、その下にいる3チームにもまだ芽は残っている。ここ4試合勝ちなしでPO圏外に押し出されてしまったクロウリーも、最終節はアウェイで空虚なパフォーマンスに終始するグリムズビーとの対戦。彼らは前節残留を決めており何の目標もない。
そしてミッドウィークに90分のゴールでバロウを破り可能性を残したブラッドフォード、そして直近ではやや調子を落とし気味のウォルソールにもわずかなチャンスがある。とりわけここ6試合で5勝1分のブラッドフォードは現在7連敗中のニューポートとの対戦、相当なラッキー待ちではあるが、少なくとも自分の仕事を果たす上ではこれ以上の敵はいない。
このカオスな状況こそまさしくLeague Two、まさしくEFLの醍醐味。最終節一番の注目ポイントはこの争いだ。
最後に残留争いについて。まさかの連敗で最終節まで争いを持ち込んでしまったのが22位のコルチェスター、ミッドウィークのドンカスター戦は仕方ないとしてその前のノッツ・カウンティに1点も取れなかったことが大きく響いた。最終節は前述したクルーをホームに迎える一戦、両者ともに目標達成にはドローで十分なので、状況的には恵まれている。
監督交代後に注目に値する復活劇を見せたサットンだが、土俵際での踏ん張りも空しく状況は絶対絶命だ。ただ最終節の対戦相手はMKドンズ、もちろん地力ではリーグ屈指のチームではあるにしても、ここは既にPO進出が決まっておりかなりのターンオーバーが見込まれる。最後のあがきを見せるしかない。
この2チームの争いを下から見つめることになったのはフォレストグリーン、既に連続降格が決まってしまった。2年前のL2優勝から皮肉にも暗転した運命は暗転し、より現実に即した経営と戦略的な運営計画が求められる。この降格の状況を考えれば、なかなか即復帰の未来を思い描くことは難しい。